G7広島サミットに求められること

G7(先進7カ国)サミットの議長国に求められる「共通の価値観」

 G7サミットを前にして,日本を除くG7の各国と欧州連合(EU)の駐日大使が7人の連名で,LGBTQ+(性的マイノリティ)当事者の権利を守る法整備を求める岸田文雄首相宛ての書簡を取りまとめたとされます(2023年3月).
 「日本はG7で唯一,婚姻の平等を認めていない」ということはよく知られています.トランスジェンダー当事者と同性婚は無関係ではありません.結婚をしている夫が,戸籍の性別を女性に変更したいと思った場合には,性同一性障害特例法の要件に従えば離婚をする必要があります.実際に,婚姻したままでの性別変更を求めた裁判例も見られています.しかし,同性婚が認められていれば,このような特例法の要件自体が不要になります.また,戸籍の性別変更をしたトランスジェンダー当事者の中にも同性婚を希望する例があります.
 2023年5月に開催されるG7広島サミット(首脳会議)の大きなテーマの1つは「ウクライナ問題」ですが,その議論の基盤になるのは「民主主義」かと思います.民主主義という「共通の価値観」があってこそ,G7が団結して力を発揮することができます.人権の上でのG7の「共通の価値観」として,LGBTQ+当事者の人権の保障があります.「日本はG7で唯一,LGBTQ+当事者への差別を禁止する法律を持たない」ことも問題視されています.
 トランスジェンダーに関連する法律と医療を考える会(プロジェクトTGD)は,法律や医療のみではなく,広く生活全般にわたる人権の保障の視点でも取り組みを進めます.そして、G7広島サミットを契機に,G7の各国から求められた「共通の価値観」を,議長国である日本が,法律や制度の上で実現化していくことに協力したいと考えています.