制服に関する活動

 「出生時に社会に割り当てられた性」と「実感する性(性自認,心の性)」とが一致しないトランスジェンダー当事者や性別にとらわれない意識を持つジェンダー・ダイバースな人々(TGD:Transgender and gender diverse individuals)にとって,学校における男女別の活動などに参加することは辛い経験となることがあります.
 ジェンダークリニックを受診した性同一性障害(性別不合)当事者の半数以上は物心ついた頃から性別違和感を持ち始め,中学生までには約9割が性別違和感を持っています.また,子どもの頃には,自殺したいと思ったり,学校へ行くことができなくなったりということを高率に経験しています.
この中学生の頃の自殺念慮の原因についての調査では,「制服」を挙げたトランスジェンダー女性(AMAB: assigned male at birth,割り当てられた性は男性,実感する性は女性)は22.6%,トランスジェンダー男性(AFAB: assigned female at birth,割り当てられた性は女性,心の性は男性)は28.9%にも及んでいます.特に,トランスジェンダー男性は,スカートをはくことに大きな苦痛を感じています.
 このため,トランスジェンダーの児童・生徒が,自身の希望する制服を選択できるようにすることは重要な対応であり,自殺や不登校を防止することにつながると考えます.2015年に発出された文部科学省の通知「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」の中では,すでに制服への配慮が挙げられており,早急な対応が求められています.また,制服の選択制は,トランスジェンダーの児童・生徒のみへの特別な対応ではなく,全児童・生徒を対象とすべきであると考えます.
 トランスジェンダーに関連する法律と医療を考える会(プロジェクトTGD)は,制服の選択制をはじめとし,トランスジェンダー当事者や性別にとらわれない意識を持つジェンダー・ダイバースな人々(TGD: Transgender and gender diverse individuals)の抱える学校での課題解決に向けての活動を行っています.

【資料】
◆文部科学省:性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について.2015年4月30日.
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/27/04/1357468.htm